工場夜景と電柱の並びが美しいフォトジェニックポイント!:江川海岸(千葉県木更津市)

江川海岸2017/12/02 3:45満潮

海へ伸びる電柱が幻想的。ウユニ塩湖を思わせる魅力的な夜景スポット

海に向かう電柱のある風景は九州、熊本にある長部田海床路(ながべたかいしょうろ)が有名ではないだろうか。
長部田海床路は大分麦焼酎「いいちこ」のテレビCMで出てきた風景だが、実は東京近郊にもそんなスポットがある。それが木更津にある江川海岸だ。

景観から言って長部田海床路と大きく違うところは、奥側に工場の風景を擁するところではないだろうか。
昼間や夕方の撮影でも魅力的だとは思うが、一番は工場のライティングを活かした夜景にあるのではないかと思う。

また条件さえ整えば満潮時の海面がウユニ塩湖のように、高い反射率で風景を反射するようになる。鏡のように映り込むのはほとんど電柱だが、これもまた現実とは思えない魅力的な風景となる。いずれにしても干潮から満潮まで時間を追って風景を楽しむことができる場所であり、夜景ともなれば空の色と共に楽しめる、アクセスしやすいということも含めて稀有な場所と言える。

潮干狩り場としての江川海岸

バラエティを中心とするテレビ番組で度々、フォトジェニックスポットしての江川海岸として取り上げられることが多かったためか、この場所を景色のいい海浜公園のようなスポットとして思われていることが多くあるが、もともとこの場所は東京湾に残された唯一自然干潟を利用した潮干狩り場だ。
春から夏にかけて潮干狩りを楽しむことができ、地元千葉はもちろんのこと東京からも多くの家族連れで賑わう場所である。

もちろんその背景には漁業を行う場所として、古くからアサリ漁などが盛んに行われており、海苔の養殖場としても利用されている。
海苔は「江川海苔」というブランドで知られており、現在でも多くの人に親しまれていることが特徴だ。

そんな漁業としての側面も持つ江川海岸なだけに写真を撮ろうとする人たちについては、江川海岸のルールに従った撮影を心がけたいものである。

人気スポットであるがゆえに混雑することを考慮しなければならない

テレビなどでも度々、取り上げられているようで話題に上がった翌日には関東近辺から続々と写真を撮る人が現れると聞いていた。
撮影日は2017/12/1。
その前日か近い日にもテレビで取り上げられたと友人から知らせがあり、混雑のため撮影が難しくなるのではないかと気をもんでいたが、冬の深夜とあってか撮影する人はほとんどいなかった。

当方以外に現れた人といえば、ガチなカメラマン1名(午前0時過ぎに離脱)、近くで呑んでいたと思われる若者グループ(午前1時頃にきてすぐ離脱)、カメラ初心者が集う老人会(午前2時頃登場~3時に離脱)といった感じで、さすがに真っ暗闇で寒さに震えながら撮影するのは困難だったためか、人は思ったよりもいなかった。これが過ごしやすい気候だと、こうもいかないかもしれない。

通常、景色の良いポイントだとカメラマンもそうだが、スマートフォン片手にやってくる人も多いため、かなり混雑することが予想されるからだ。しかもこの場所は車さえ乗ることができれば気楽に来れる場所。誰でも行けるという意味では、撮影しにくい環境になることも予想しなくてはならない。

駐車するスペースは、撮影スポットから約300メートルほど北に歩いたところにあるが、30台も停めれば満車になることから、駐車スペースのことについても念頭に置いておいたほうがいいだろう。
集中して撮影したいなら人が来ない季節、時間帯を狙ったほうが懸命だ。

駐車場から撮影スポットまでの距離

駐車場から撮影スポットまでは300m程度の距離がある。
携帯片手に撮りに行くのであれば特に問題はないが、撮影機材を用意して行く人は要注意。
撮影場所で忘れ物を思い出して、徒歩で車に戻った場合、往復で10分近くかかってしまう。
単純な風景撮影ということであれば気にする必要はないが、潮の満ち引きによって景色が変わるスポットであるため、10分という時間は影響が出てしまう可能性がある。
事前の準備はしっかりと行いたい。

自分が思うような写真を撮るなら気をつけたいポイント

江川海岸の風景の魅力は、

  • 海に伸びる電柱
  • 干潮・満潮時の風景の移り変わり
  • 奥に見える工場群

の3つの要素が挙げられる。
この要素をすべて自分の考える構図で満たそうとすると、的確な場所を確保しなくてはならない。

なぜかと言えば「海に伸びる電柱」は直線的に並んでいる。そのため電柱の真正面はもちろんのこと、中途半端に角度をつけて撮影しようとしてもしっくりこない。広角で撮るのであれば、電柱列と自分がいるポイントである程度の角度が必要になってくる。
場所によっては自分の思った通りの写真を撮ることが難しいため、なるべく人のいないタイミングを狙って訪問し、あらゆる角度や立ち位置で確かめてみるのがいいだろう。

また今回の撮影はすべてNikon D810、24-70 F2.8のレンズで撮影を行っているため、工場部分がかなり小さくなってしまっている。70mmで撮っても工場の建物を一つ一つ認識できる程度にはならない。
そのため工場をより詳細に写したい方は300mmクラスのレンズを用意するのが良いかと思われる。

ところであの電柱はなぜ建っているの?

さて、最後によくある疑問についてお答えしよう。
江川海岸にはなぜ海に伸びる電柱が建っているか、についてだ。
地元、木更津市観光振興課の話では、昭和末期に江川海岸で獲れていたアサリやハマグリを密漁する悪質な業者が横行。
これを理由に沖合約1キロの位置に密猟者を発見し、通報するための監視小屋が設置された。この監視小屋に電気(照明)、電話を備える必要があったため、小屋と同時に電柱も設置されたと言われている。
しかし暗視カメラの技術進歩のおかげで、陸側からの監視が可能となり、2003年(平成15年)に監視小屋は閉鎖。その後、電柱と監視小屋がそのまま残されたままになっているため、今の景色ができたというわけだ。

今後懸念される江川海岸の風景

江川海岸は潮干狩り場としての側面より撮影スポットとして多くの人に知られるようになったため、特にテレビで取り上げられたあとには多くの人が訪れると聞く。
賑わいは見せているものの、そんな状況を地元の人はあまり良く思っていないというのが現状だ。
当初は干潟に自由に降りられるようになっていたものの、あろうことか電柱によじ登って撮影する輩が出現。老朽化した電柱が折れて、最悪の場合死に至る可能性もある。
このような理由から電柱へ向かうスロープが立入禁止となった。

また近くの江川海岸から2km北方向にある金田海岸でも、かつては海に続く電柱が建てられていたが、老朽化のため撤去されてしまった。
多くの人が訪れることで発生するごみも問題視されていることから、老朽化と地域の安全化を目的とした電柱撤去が行われる可能性もあるので、いつかはこの風景もなくなってしまう可能性もある。

訪れる人にできることは、ゴミを出さない、マナーを守る、立入禁止場所には入らない、といった基本的なルールが守られることで、この風景も永らえることができるのではないかと考察する。

アクセス

東京湾アクアラインから来た場合は、木更津金田インターチェンジで降り、10分ほど下道を走らせると江川海岸に到着する。
館山自動車道からアクセスした場合は、木更津ジャンクションから東京湾アクアライン連絡道に入り袖ヶ浦インターチェンジから10分ほどで江川海岸に行くことができる。

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中の人は廃墟7割、離島1割、珍スポ1割、モデル撮影1割で構成されていると思われるフォトグラファー。廃墟好きをこじらせていろんなアイテムを作って遊んでます。