別荘地にあるドイツの城のような廃墟:魔女の館(広島県呉市)

野呂山山中の別荘地にある別荘廃虚

広島県呉市の西側にある野呂山は、野呂山ビジターセンターを中心としてキャンプ場や展望台。弘法寺といった地元と縁の深い寺社があることで有名だ。
広島市内からはもちろん、広島県東側の人口の多い三原市、尾道市からもアクセスしやすい場所にあるため、アウトドアレジャーを楽しむには、気軽に来ることのできる立地にある。
標高839mという高さは瀬戸内海側の山では六甲山に次ぐ第2位であるため、見晴らしも非常によく瀬戸内海沿いの町並みや海の景色を楽しむことができる風情ある山というのが特徴だ。
そんな野呂山には山梨県内にあるような別荘地も抱えている。
別荘地と言えば、行楽シーズンを除けば山中にある人通りの少ない静かな住宅街という印象があるが、この場所は特別静かな、というより寂しさすら覚えてしまうような場所だった。

通称「魔女の館」と呼ばれるこの家はそんな別荘地の一角にある建物。
別荘地の中でもかなり奥地にあり、背の高い木々が周りを覆っているため見上げながら探さないと見落としてしまいそうになる。
別荘にある他の家々と比べてみても、西洋の城をイメージしたデザインで突飛な印象がある。どのような目的でこんなデザインにしたのだろうか。
建物入口の扉の上には「Drachenburg」と書かれたプレートが掲げられているが、これはドイツのドラッヘンブルク城のことだろう。
ドイツの城はそのディテールが細やかであることで知られているが、どちらかと言えばディズニーランドにあるような白雪姫城を雑に作ったような感じである。

魔女の館、と名付けられた理由は定かではないが、やはり他の別荘と比べてみても西洋の城という他にはないデザインであったことと、廃墟となってしまった不気味な雰囲気のおかげでそう呼ばれるようになったのだろう。
地元の人からは心霊スポットして有名な場所であるため、なるほどその呼び名も頷けるというものである。

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魔女の館内部は螺旋階段が特徴的

敷地に入る入り口はやはり西洋の城のそれらしく頑丈な鉄の門となっている。
この入口の感じからしても不気味さはあるのだが内側に入り、若干傾斜地となっている箇所を歩くと建物の真正面にたどり着く。

建物の構造は3階建てとなっており、1階はエントランスと思われる広いスペース。2階はビリヤード台などがある娯楽室、3階は畳のある宿泊できる部屋。そして屋上という階層構造になっている。
この廃虚の最も美しく特徴的と言われるのはそれぞれのフロアを結ぶ螺旋階段だ。
螺旋階段は建物の中心ではなく、敷地入り口の鉄の扉がある西側にある。無機質なコンクリートの壁とタイル状の床でできており、保存状態も良いため今でも当時の美しさが残っているのではないだろうか。

なおこの建物は社名は不明だったものの、ある会社の保養施設として建てられたものということが、1階螺旋階段の隅にあった看板でわかった。

所在地

広島の中心地から車で1時間程度。野呂山山中の別荘地を目指して進むと魔女の館がある。
三原方面からさざなみスカイラインを経て来た場合、日本では珍しいラウンドアバウト交差点を通るので曲がる場所に注意されたい。
なお2018年に発生した豪雨被害によって、ところどころ道路が崩落していたり、その影響による落石なども確認された。
道中はかなり慎重になったほうがいいだろう。

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